アジ釣り変じてハギすくい
アジ釣りを目的にマイボート「シーガル号」は初出漁しました。
アジ釣りは一本釣り漁師の対照魚のため、ここ瀬戸内海ではコマセアミを
禁止している海域が多くあります。
漁師の仕掛けは恐ろしく長く、カブラ針の数もハンパではありません。
延縄のように付いています。
道糸の先のオモリも何キロあるか分からないくらい大きいものが付いています。
これをトロールしながら、回遊するアジを狙います。
当時は、魚群探知機も普及しておらず、漁師の長年の経験がすべてでした。
釣れるアジは30センチを超す3年ものの良形ばかりでした。
本職の漁師の邪魔にならぬように随分離れて釣ります。
アジ釣りカブラが10個ばかりの仕掛けで。
しかし、シロウト船頭の悲しさ。潮の流れは読めず、風上の方向にボートをつけることも出来ず、
ボートはクルクルと回転する始末です。
これまで、釣り仲間の船に乗り、船釣りは充分に経験していました。
そこそこの腕前だと思っていましたが、
いざ自分で船を運転し外海に出てみると
勝手が違います。
四方に気を配り、後ろからの船の動きに
注意し、進路妨害にならぬように航路を調節しなければならなりません。
アジ釣りのポイントには他の船がたくさん来ています。シロウトのボートも多く、釣りの邪魔を
された漁師の怒鳴り声が聞こえます。
仕方なくこのポイントを外れて、コマセ撒きの出来る別のポイントへ移動しました。
2年もののアジが釣れる場所です。
ここでは、アンカー(錨)を打ち、瀬(海底で山のように盛り上がった所)に付いている
アジを狙います。
しかし、ここでもそうそう簡単にはイカリが打てません。山だて(簡易三角測量法)に不慣れで、
おまけに潮の流れと方向の変化が分かりずらいし、風の向きも変わります。
船釣りに連れて来てもらう時には、エサの生きエビを肴にビールを飲んでいるのが常でしたが
そんな余裕はまったくありません。
ベテランのケイ君にアドバイスを受けながら、ここぞと思う所にイカリを打ちます。
しかし、すぐに潮に流され、風に流されます。何度もアンカーを上げたり下げたりして
やっと思うところに船を着けることができました。
「これは、なかなかじゃ」というと、
ケイ君は「三年は船頭修行がいる」と真顔で答えました。
本当にそれくらいの修行が必要であると痛感しました。
かくして、初釣りの開始となりました。水深は30メートル。仕掛けは天秤にコマセ用の
アンドンカゴにオモリ40号、サビキは大きめの針仕掛けを吹き流しにしています。
コマセジャミをカゴに詰めて海に投げ込み底取りをします。
2,3回繰り返しますがあたりがありません。
「コツコツコツ、コツコツコツ」と何か魚信はあるのに釣れません。
何の魚信か分からないままでしたが、しばらくすると原因が分かりました。ウマズラハギでした。
巻き上げるジャミカゴを追って水面近くまで上がってきたのです。
おびただしい数のウマズラハギが海の底から湧いてきました。
この魚がジャミカゴを突いていたのです。
「ウマズラじゃ」と言いながらボートに積んである大型のタモアミをケイ君は出してきました。
仕掛けの針を外しジャミカゴにジャミを詰めて水面下1メートルに沈めました。
すると、つられてウマズラハギが湧いてきます。
バカになったようにエサをつつきます。カゴもつつきました。
それをタイミングよくすくっていきます。一度に2,3匹すくえました。
「大漁じゃ、大漁じゃ」と言いながらすくい続けました。
30センチ前後を100枚くらいすくってやめました。
水槽は満杯。すぐに船上で一匹ずつ生き締めにしてクーラーに詰めました。
初釣り?は大漁でした。
家に帰り刺身、煮付け、唐揚げにしました。
旬を過ぎていたが、それでもキモも大きく美味でした。
近所にもお裾分けして喜ばれました。
アジは残念ながら釣れませんでしたが、結果オーライの一日でした。

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