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小型船舶の免許を取る

小型船舶の免許を取ろうとは思っていませんでした。
仕事場の仲間達は皆釣りが好きで、週末の休みのたびに船釣りに行くのが常でした。

おおかたの人は船も小型船舶の免許も持ってないのが普通でした。

むしろ、これらを持っている人の方が少数派でした。船を持っているといっても、
5メートル程度のボートでした。中には本格的な和船を持っている人もいましたが。

そんな人たちに影響されて、釣り仲間の何人かは熱に浮かされたように
小型船舶の免許を取りに行くようになりました。かく言う自分もその一人でした。

小型船舶の試験も車の試験と同じで実技試験と学科試験あります。
取り扱いの行政官庁は車が運輸省で小型船舶が国土交通省になっています。

昭和58年当時は今ほどレジャーボートも多くなく、ましてや水上ジェットスクーターなど
というものも少なかった頃です。

したがって、試験もいたって簡単に受検出来ましたし、誰でも合格することが出来ました。
車の免許は、教習者に通い、仮免許を取り、実地試験を受けなければなりませんが。

小型船舶の試験はすべて一発勝負です。本来、車の免許も試験場に行けばいつでも受検
させてくれますがまず受かりません。

手続きは、はじめに本屋に行き小型船舶の受検申請書を購入し、これに必要事項(住所、氏名、
連絡先等)を記入します。そして最寄りの海事事務所に受検の仲介をしてもらいます。

手数料5,000円を払い証明写真2枚、受験料7,000円を納めれば終了です。

そのときに学科試験の日時、場所が知らされます。それまで、市販の小型船舶試験問題集を
買ってきて勉強します。主に法規が中心です。

学科試験は選択制ですが、中には文章問題も出題されます。

一番苦労した問題は上部が白色灯、下部が緑色の昼夜灯が見える船は左右のどちらに進行しているか。
という問題に出くわした時です。

しばし考え込みました。

船首灯、船尾灯などを考えました。答えは右方向です。気付くと簡単でありますが分からなかったです。

実際、船に乗るようになると、夜間航行ではまったくこの通りに見えます。

そんな問題をクリアして合格すると、次は実技試験の日時と場所が指示されます。実技試験は
ボートを係留・管理するマリーナで行われました。

そこに受験生20名ほどと試験管4名がいました。

試験用の船はハンドル付きの中型船内機でありました。
ハンドル付きには一度も乗った経験がありませんでした。

それでも大丈夫。車の運転ができれば感覚は同じです。

実技試験を受けたものから様子は充分聞いていたのであまり心配していませんでした。

5点ほど注意を受けていました。

第1: 安全確認の示唆点呼を大きな声とジェスチャーでする。
第2: ロープの結び方が試験される。あらかじめ数種類の結び方を練習する。
第3: 実際の海上走行試験である。フルスピードで方向転換とブイを目印に蛇行運転の試験を行う。
第4: 投げ入れたブイを遭難者に見立てて救助試験を行う。ブイにぶつけると失格。
     ゆっくりと船を寄せる。
第5: 寄港時の接岸とロープ結び。桟橋に衝撃が残るような接岸は減点。以上の点に注意して
    試験に臨む。


しかし、実際には、先の受験者が望遠鏡のようなものを覗いて
「30度です」などと答えていました。何をやっているのかさっぱり分からず、頭が混乱しました。
「こんな実技試験は聞いていない」と思いながら試験に臨みました。

試験官は「向こう岸のエントツの角度を答えよ」、
「………」、分からぬままに画面に表示される数字を答えました。
「35度です」「よろしい。次」試験官は、次の実技試験を示唆しました。

今でもこの時の答えがあっていたのか違っていたのか定かでありません。

ともあれ実技試験は順調に進み、晴れて合格を勝ち取ることが出来ました。
後日、海運局に免許をもらいに行きました。



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